裁判官の忌避申立書の作成例

 裁判官の忌避申立書は、特定の裁判官が公正な裁判を行うことが期待できない事情がある場合に、その裁判官を事件から排除するよう求めるための書類です。以下にその例を示します。

忌避申立書

令和6年6月18日

東京地方裁判所 御中

申立人 〇〇 〇〇

上記事件の申立人は、下記のとおり、貴庁係属の頭書事件の担当裁判官である〇〇 〇〇殿に対し忌避を申し立てます。

1. 事件の表示

 * 事件番号:令和〇年(ワ)第〇〇〇号

 * 事件名:損害賠償請求事件

 * 当事者:

   * 原告:〇〇 〇〇

   * 被告:株式会社〇〇

2. 忌避の対象となる裁判官

東京地方裁判所 裁判官 〇〇 〇〇

3. 忌避の理由

 * 〇〇裁判官は、本件と関連する過去の事件(令和〇年(ワ)第〇〇〇号 土地明渡請求事件)において、申立人の主張を一方的に退け、申立人に対する不当な判断を下しました。

   * 具体的には、当該事件において、申立人が提出した重要な証拠である〇〇(証拠番号:甲第〇号証)について、〇〇裁判官は「本件との関連性が低い」と一蹴し、審理において十分に検討することなく、申立人に不利な判決を下しました。この判断は、事実関係を十分に踏まえておらず、申立人に対し不当な扱いをしたと言わざるを得ません。

 * 〇〇裁判官は、本件の口頭弁論期日(令和6年5月20日)において、申立人の代理人弁護士に対し、威圧的な態度で発言を遮り、申立人の主張を聞き入れようとしない姿勢が見られました。

   * 申立人の代理人弁護士が、本件における主要な争点である〇〇の点について説明しようとした際、〇〇裁判官は「もう結構です。同じ話の繰り返しはやめてください」と強い口調で発言を制し、その後も申立人側の意見陳述に対して、明らかに不満そうな態度を示しました。このような態度は、裁判官が公平・中立な立場から当事者の主張を傾聴すべきという原則に反するものです。

 * 上記の事情から、〇〇裁判官は本件において、申立人に対して予断を抱いているか、または偏見を有している可能性があり、公正な裁判を受ける権利が侵害されるおそれがあります。

   * これらの言動から、申立人は、〇〇裁判官が既に本件に対する心証を形成しており、申立人の主張を公正に評価しないのではないかとの強い懸念を抱いています。このまま〇〇裁判官が本件の審理を担当した場合、申立人は公平な判断を受けることができない可能性が高く、到底安心して裁判手続を進めることができません。

4. 証拠方法

 * 上記3.1の過去事件の判決書(写し)

 * 令和6年5月20日付 口頭弁論期日調書(申立人が謄写申請中)

 * その他、必要に応じて提出します。

5. 結論

以上の理由により、申立人は、〇〇裁判官が本件について公正な裁判を行うことが困難であると考え、〇〇裁判官に対し、裁判官の忌避を申し立てます。貴庁におかれましては、本申立てを速やかに受理し、〇〇裁判官を本件から排除されるよう、強く求めます。

以上

【忌避申立書を作成する上での注意点】

 * 具体的な理由の明記: 忌避の理由を具体的に、かつ明確に記載する必要があります。「気分が悪い」「相性が悪い」といった抽象的な理由では認められません。具体的な言動や事実に基づいて記述してください。

 * 客観的な証拠: 忌避の理由を裏付ける客観的な証拠を添付することが重要です。例えば、過去の判決、調書、音声記録、書面などが考えられます。

 * 忌避の効果: 忌避が申し立てられると、その裁判官は忌避の判断が確定するまで、その事件に関与できなくなります。ただし、緊急の行為(例えば、証拠保全など)は行うことができます。

 * 却下される場合: 忌避の申立ては、理由がないと判断された場合や、訴訟の遅延を目的とした不当な申立てであると判断された場合には却下されます。

 * 専門家への相談: 忌避申立ては、法律的な専門知識を要する手続きです。安易に行わず、必ず弁護士に相談した上で慎重に検討することをお勧めします。

この忌避申立書はあくまで一般的な例であり、実際の状況に合わせて内容を修正する必要があります。不明な点があれば、お気軽にご質問ください。


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