TCP/IPプロトコル群に関するネットワークスペシャリスト試験午後Ⅱ問題の出題例について

 ネットワークスペシャリスト試験の午後Ⅱ問題において、TCP/IPプロトコル群そのものが直接的に「TCP/IPプロトコル群について論述せよ」といった形で出題されることは稀ですが、TCP/IPプロトコル群を構成する個々のプロトコルやその仕組み、関連技術は、午後Ⅱの論述式試験で非常に頻繁に出題されます。

具体的な出題例としては、以下のようなテーマの中でTCP/IPプロトコル群の知識が問われます。

頻出テーマ例:

 * ルーティングプロトコル (BGP, OSPFなど):

   * 複数のインターネット接続を利用する「マルチホーム接続」におけるBGPの設計や設定。

   * AS (Autonomous System) 間の経路交換、BGPメッセージ(OPEN, UPDATE, KEEPALIVE, NOTIFICATION)、BGPの属性(LOCAL_PREFなど)。

   * ルーティングテーブルの経路選択におけるロンゲストマッチやAD(Administrative Distance)値の概念。

   * VRRP (Virtual Router Redundancy Protocol) とBGPの連携による冗長化設計。

   * 例: 令和3年 午後2-2「BGP」に関する問題。

 * DNS (Domain Name System):

   * DNSサーバの役割(コンテンツサーバ、フルサービスリゾルバ)。

   * ゾーン転送の仕組み。

   * DNSキャッシュポイズニング対策。

   * DNSラウンドロビンによる負荷分散。

   * 例: 令和元年 午後2-2「DNSサーバ」に関する問題。

 * Webプロトコル (HTTP, HTTPS, プロキシ):

   * プロキシサーバの導入と設定(NAPT、プロキシ自動設定機能 PAC)。

   * SSL/TLSオフロード、X-Forwarded-Forヘッダ。

   * 例: 令和5年 午後2-2「ロードバランサ X-Forwarded-For SSL/TLSオフロード」に関する問題。

 * セキュリティ関連 (ファイアウォール, IDS/IPS, VPN):

   * ファイアウォールのフィルタリングルール設定(送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、ポート番号など)。

   * SYNクッキー方式など、DoS攻撃対策。

   * URPF (Unicast Reverse Path Forwarding) による送信元IPアドレス偽装対策。

   * 例: 令和元年 午後2-2「ネットワークのセキュリティ対策」に関する問題。

 * VLAN, STP, 仮想化技術:

   * VLANによるネットワークの分離。

   * 仮想ブリッジセグメント、コンテナ仮想化技術におけるネットワーク構成。

   * 例: 令和4年 午後2-2「仮想化技術の導入」に関する問題。

 * 音声系プロトコル (SIP, RTP):

   * IP電話システムにおけるSIPとRTPの役割、FWでの通信許可設定。

   * 例: 令和3年 午後2-1「クラウドサービスへの移行(IP電話関連)」に関する問題。

出題形式の特徴:

 * 具体的なシステム構成やトラブルシューティングのシナリオが提示され、その中でTCP/IPプロトコル群の各プロトコルの動作原理、設定、あるいは問題点について問われます。

 * 問題文中の図や表、シーケンス図を読み解き、TCP/IPの各層でどのような処理が行われているかを理解していることが求められます。

 * 字数制限のある記述形式で、特定のプロトコルがどのように機能するか、なぜその設定が必要なのか、といった理由を簡潔に説明する能力が必要です。

このように、ネットワークスペシャリスト試験の午後Ⅱでは、TCP/IPプロトコル群そのものというよりも、TCP/IPを構成する具体的なプロトコルが、実際のネットワーク設計や運用、トラブルシューティングの場面でどのように活用され、どのような課題が発生し、どのように解決されるかという実践的な知識が問われます。

したがって、TCP/IPの各プロトコルについて「なぜそのように動くのか」「どのような情報をやり取りしているのか」「どのような設定でそれが実現できるのか」といった深い理解が不可欠です。過去問を解く際には、単に解答を覚えるだけでなく、その背景にあるTCP/IPの仕組みをしっかりと理解するように努めてください。


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