NATトラバーサルに関するネットワークスペシャリスト試験
以下に「NATトラバーサル(NAT Traversal)」をテーマとしたネットワークスペシャリスト試験形式の問題を10問一括で作成します。
各問に【選択肢】【正解】【解説】【穴埋め】【誤文訂正】を含めて出題します。
■ 問題1
NATトラバーサル技術が最も必要とされるのはどのような状況か。
A. LAN内でのARP要求通信
B. NAT越しにVPNトンネルを構築する場合
C. Webブラウジング時のHTTPリクエスト
D. ローカルプリンタとの通信
【正解】B
【解説】VPN(特にIPsec)のようなトンネル通信では、NATがヘッダ情報を変換してしまい通信確立が困難になる。このためNATトラバーサルが必要となる。
【穴埋め】NAT環境下でIPsec VPNを確立するには ________ 技術が必要である。
→ NATトラバーサル
【誤文訂正】NATトラバーサルはLAN内のARP要求で必要とされる。
→ 正しくは、NAT越しのVPN通信で必要とされる。
■ 問題2
次のうち、NATトラバーサルのためにIPsecで用いられるプロトコルはどれか。
A. GRE
B. L2TP
C. UDP
D. HTTP
【正解】C
【解説】NATトラバーサルではIPsecパケットをUDPでカプセル化する(UDPポート4500)ことにより、NATを通過可能にする。
■ 問題3
STUN、TURN、ICEといった技術は、NATトラバーサルを必要とするどの用途でよく用いられるか。
A. DNS名前解決
B. ファイアウォールの設定
C. VoIPやWebRTCなどのリアルタイム通信
D. OSアップデートの取得
【正解】C
【解説】STUN/TURN/ICEは、NAT環境下で端末同士が直接通信可能な経路を発見するための技術であり、VoIPやWebRTCなどに使用される。
■ 問題4
STUN(Session Traversal Utilities for NAT)の役割はどれか。
A. NATにセッション情報を記録させる
B. NAT機器の内部IP設定を変更する
C. NAT越しに自身のグローバルIP・ポート番号を知る
D. VPN暗号鍵を自動で更新する
【正解】C
【解説】STUNは、端末が自身の外部(グローバル)アドレスとポートを知るための軽量なプロトコルで、UDPを利用する。
■ 問題5
TURN(Traversal Using Relays around NAT)の機能として最も適切なものはどれか。
A. NAT装置にポート開放を要求する
B. NAT環境をバイパスして直接通信を確立する
C. 通信が確立できないときにリレーサーバを介して中継する
D. DNSキャッシュを一時的に保存する
【正解】C
【解説】TURNは、STUNで直接通信できない場合にリレーサーバを介して通信を行う技術。通信遅延は増すが確実性が高い。
■ 問題6
ICE(Interactive Connectivity Establishment)の主な役割はどれか。
A. NAT装置を初期化する
B. IPsec暗号鍵の配布
C. 最適な通信経路(STUN/TURN)を選定し確立する
D. TCPとUDPの変換を行う
【正解】C
【解説】ICEは、STUNやTURNを組み合わせて、複数の候補の中から最適な経路で通信を確立するNATトラバーサルの統合技術である。
■ 問題7
NATトラバーサルを利用している技術・アプリケーションの組合せとして最も適切なものはどれか。
A. SNMP - STUN
B. WebRTC - ICE
C. SSH - TURN
D. SMTP - IPsec NAT-T
【正解】B
【解説】WebRTCはブラウザ間通信技術であり、ICEを用いてSTUN/TURNを統合的に制御してNATトラバーサルを実現している。
■ 問題8
NATトラバーサルを行うUDPベースの通信で、NATによって切断が発生しないように維持する処理はどれか。
A. ACK遅延
B. TTL再送
C. キープアライブ
D. フラグメント制御
【正解】C
【解説】NATのセッションタイマが切れるのを防ぐために、定期的に小さなUDPパケットを送ってセッションを維持する手法をキープアライブと呼ぶ。
■ 問題9
NATトラバーサルが必要とされる通信環境として適切でないものはどれか。
A. オンプレミスVPN接続
B. 公開WebサーバとのHTTPS通信
C. P2P通信によるファイル共有
D. WebRTCを用いたブラウザ間ビデオ通話
【正解】B
【解説】HTTPS通信はTCPベースであり、NAT環境でも一般的に問題なく通信できるため、NATトラバーサル技術を必要としない。
■ 問題10
IPsecのNATトラバーサル(NAT-T)で、UDPパケットの送信に使われるポート番号はどれか。
A. 443
B. 500
C. 4500
D. 1723
【正解】C
【解説】IPsecでNATトラバーサルを行う場合、ESPが通らないため、UDPポート4500を使って暗号化パケットをカプセル化する。
必要であれば、「NATの種類ごとのトラバーサル可否表」や、「STUN/TURNサーバ設定の具体例」「UDPホールパンチングの仕組み」など補足資料も提供可能です。お気軽にお申し付けください。
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