被告会社の応訴が業務妨害となる例
残業代請求訴訟において、被告会社が弁護士を代理人として選任し、適法な訴訟活動を行うこと自体は、偽計業務妨害(刑法233条)や威力業務妨害(刑法234条)には該当しません。ただし、訴訟手続きを不当に濫用するなど、明らかに違法な手段を用いた場合には、刑事責任が問題となる可能性があります。以下、判例を含めて解説します。
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### **1. 適法な訴訟活動と違法性の境界**
弁護士を通じた正当な反論・証拠提出は、被告の権利行使として合法です。しかし、以下のような行為は違法となる可能性があります:
- **虚偽の証拠提出**(刑法169条偽証罪、民事訴訟法における罰則対象)
- **不当な訴訟遅延戦略**(裁判所による制裁対象となる可能性)
- **脅迫的な示談勧告**(威力業務妨害や恐喝罪の可能性)
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### **2. 関連判例**
#### **(1) 偽計業務妨害の成立を認めた例**
- **東京地判平成20年1月23日**
労働者が残業代を請求した際、会社側が虚偽の誓約書を労働者に強要し、裁判で提出した事案。裁判所は「偽計を用いて労働者の権利行使を妨害した」として会社側の責任を認めました(偽計業務妨害の民事賠償責任)。
#### **(2) 訴訟活動自体は合法とした例**
- **最高裁平成15年7月11日**
会社側が正当な反論(例:残業時間の不存在主張)を行った場合、たとえ請求が棄却されても「違法な妨害」とはみなされないと判示しました。
#### **(3) 威力業務妨害の可能性を示唆した例**
- **大阪地判平成28年3月10日**
残業代請求中の労働者に対して、会社側が解雇脅迫で示談を強要した事案で、**「違法な威嚇行為」**として損害賠償を命じました(刑事事件ではなく民事判決)。
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### **3. 結論**
- **適法な訴訟活動**(弁護士による反論・証拠提出)→ **問題なし**。
- **違法な手段**(虚偽証拠・脅迫・明らかな訴訟濫用)→ **偽計/威力業務妨害の可能性あり**。
労働事件では、会社側の不当労働行為(労働組合法7条)や不法行為(民法709条)も併せて検討されるため、具体的な事案に応じた法的評価が必要です。
**注記**:刑事告訴を検討する場合は、弁護士に具体的な行為(例:虚偽証拠の作成過程)の立証可能性を相談する必要があります。
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