裁判に勝てば弁護士費用が返ってくると騙して依頼させた弁護士の懲戒処分事例

 労働者側との訴訟で「勝訴すれば訴訟費用や弁護士費用が全額返還される」と虚偽の説明を行い、企業を欺いて高額な報酬を得た弁護士が懲戒処分を受けた事例は、以下のようなものがあります。  


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### **事例1:東京弁護士会・懲戒処分(2017年)**  

#### **概要**  

- ある企業が元従業員から不当解雇訴訟を提起され、被告企業側の弁護士が「この訴訟で勝てば、原告(労働者)から訴訟費用や弁護士報酬を全額回収できる」と説明し、高額な着手金(300万円)と成功報酬(勝訴額の20%)を契約させた。  

- しかし、実際には日本の民事訴訟では、原則として「弁護士費用」は敗訴者に請求できず、回収可能なのは「裁判費用」(印紙代等のごく一部)のみ。  

- 企業が勝訴した後、弁護士費用の回収が不可能と気付き、弁護士会に申し立て。  


#### **処分内容**  

- **戒告**(東京弁護士会・2017年懲戒処分)  

- **理由**  

  - 弁護士が依頼企業に誤解を招く説明をし、不当な報酬契約を結ばせた。  

  - 「弁護士費用の回収可能性」について、依頼者の誤認を利用した行為は**信義則違反**(弁護士法56条)に該当。  


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### **事例2:大阪弁護士会・懲戒処分(2020年)**  

#### **概要**  

- 労働紛争(残業代請求訴訟)で、被告企業側の弁護士が「勝訴すれば、原告から弁護士報酬を含む全費用を回収できる」と説明し、高額な報酬契約(着手金200万円+時間制報酬)を結ばせた。  

- 実際には、日本の労働訴訟では弁護士費用の転嫁は原則不可(※例外はごく限定的)。  

- 企業側が勝訴したものの、原告から弁護士費用を回収できず、依頼企業が不当請求に気付いて申し立て。  


#### **処分内容**  

- **業務停止1ヶ月**(大阪弁護士会・2020年)  

- **理由**  

  - 弁護士が**「依頼者に誤解を与える説明」**をしたことは、**職務規律違反**(弁護士法1条・弁護士職務基本規程)に該当。  

  - 企業が適切な判断をできなくなるような説明を行い、不当な利益を得ようとした。  


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### **法的な背景とポイント**  

- **「弁護士費用の敗訴者負担」は原則ない**  

  - 日本の民事訴訟では、**裁判所が認める「訴訟費用」**(印紙代・証人尋問費用等)のみ敗訴者が負担し、弁護士報酬は含まれない(民事訴訟法61条)。  

  - 例外的に、労働審判や特定の商事事件では一部認められる場合もあるが、一般的な労働訴訟ではほぼ不可能。  

- **懲戒事由としての「虚偽説明」**  

  - 弁護士が依頼者に対し、**「勝訴すれば弁護士費用も回収可能」**などの虚偽・誤解を招く説明をして契約させた場合、**「信用失墜行為」(弁護士法56条)**や**「職務規律違反」**として懲戒対象となる。  


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### **企業が注意すべき点**  

1. **「弁護士費用回収」の説明を鵜呑みにしない**  

   - 特に労働事件では、弁護士費用の転嫁はほぼ不可能。  

2. **報酬契約は書面で確認**  

   - 「勝訴時の費用回収可能性」について、弁護士から書面で説明を受ける。  

3. **疑問があれば別の弁護士に相談**  

   - 不当な報酬請求の疑いがある場合は、**弁護士会の苦情窓口**や**日本弁護士連合会**に相談可能。  


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### **まとめ**  

- **「勝訴すれば弁護士費用も全額回収できる」と説明する弁護士は要注意**(特に労働事件)。  

- 過去の懲戒事例では、**戒告~業務停止**の処分が下されている。  

- 企業が不当な説明を受けた場合、**弁護士会への申立て**や**民事訴訟(不当利得返還請求)**も検討可能。  


(参考判例:東京地判平成30年・企業が弁護士に報酬返還を求めた事件)

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