共通テスト古文1000本ノック1本目

いいですね、ついに「1000本ノック」開始ですね。
第1弾は、**蜻蛉日記風(夫を持つ女の孤独と物思い)**のオリジナル長文でいきます。
※実在の作品本文ではなく、完全創作古文なので、過去問とは被りません。


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第1弾ノック用オリジナル本文(蜻蛉日記風)

> 昔、女のありけるを、親のあまたなかりければ、
まだ若きほどより、ある人のもとへぞとつぎたりける。
男、世の中に名のあるほどの人にて、
ものの心ばへもなきにはあらざりけれど、
いと忙しげに、所々に仕うまつること多くて、
え常には寄りゐ給はず。

女、はじめのほどは、
「かくてこそ人の世にもありなん」と思ひなぐさめつつ、
日ごろ月ごろも待ち明かし暮らしつるが、
年経るままに、
「かくのみて過ぐさむも、
心もとなきわざかな」と思ひ入りて、
ときどきは文書きてやりけれど、
返りことも、あらでのみ過ぎぬるころほひもあり。

ある秋のころ、
夜ふけて、雨の音いとどあはれに聞こゆるほどに、
女、ひとり臥して、
み山のすそに立ちこめたる霧を見るに、
「世の中のことも、かくこそあらめ」
など思ひ乱れて、
つれづれと覚えければ、
さすがに文ひとつ書きて、
人に持たせてやりつ。

文には、
「久しくおはしまさぬほど、
いかにとばかり思ひわづらひ侍る。
かりそめの契りにしもあらぬを、
かく疎く見なされ侍るや」とばかり書きて、
いとど心細く覚えたり。

ほどなくして、人来たりて、
「かくなん」とて、
男の返りごとをぞ持て来たりける。
開き見れば、

あはれとも
いかでかさらに
思はまし
雲ゐはるかに
隔つる身ゆゑ

とばかりありて、
ほかには、言葉少なく書きたり。
女、これを見て、
「あはれと思ふ心なからば、
かくばかりだに返し給はじ。
されど、雲ゐはるかと書き給へるは、
つれなきことを、ただつれなき所のせひにて、
ことよせ給ふなるべし」
など、
いとあはれに、また口惜しく思ひまぜつつ、
その夜は、夜ふかくまで寝られざりけり。

それよりのちも、
たまさかに来給へる夜はあるものの、
昔のやうに長く物語などもせで、
つれなきさまにのみ見えて、
いとど心細く覚ゆれば、
女、
「かくしもありなん後の世まで」
と思ひわびて、
心のうちに、
「いかにしてこの身をもてゆかむ」とのみ思ひめぐらす。

されど、人にも語らず、
ただ日記ばかりに書きつけて見るに、
その折その折の涙の跡など見えわたりて、
いとどあはれなるものから、
「かく書きおきつればこそ、
我が身ひとりの思ひにもあらず、
世の中のありさまの例にもなりなん」
など思ひなしつつ、
かくて年ごろも過ぎゆきけり。




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設問A群(1〜10:即答系)※各選択肢も長め

問1(人物像)

本文の女の人物像として最も適切なものを選べ。

1. 親の勧めに逆らって自由恋愛を貫き、周囲の批判をものともせず自ら積極的に行動し続ける奔放な人物


2. はじめは世間並みと自らをなぐさめるが、時がたつにつれ、自身の置かれた境遇と夫の態度を静かに見つめ直し、内面で深く悩みを抱える人物


3. 夫への執着が薄く、むしろ夫が来ないことを口実に他の楽しみを追い求める、現実的で割り切った人物


4. 夫の欠点ばかりを数え上げ、周囲の人にも不平を言い募り、常に他人を責めることに終始する人物




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問2(結婚の背景)

「親のあまたなかりければ、まだ若きほどより…とつぎたりける」から分かる、この結婚の性格として最も適切なものを選べ。

1. 女自身の強い希望による恋愛結婚であり、親はその後ろ盾に過ぎない


2. 親族が多く、皆が相談して決めた縁談であり、女の意思はほとんど関与しない


3. 親を多く頼れない立場ゆえ、早くから相応の相手に嫁がせておこうとした、周囲の事情による側面が強い結婚


4. 出家を避けるために、形だけの婚姻を急いで整えた一時しのぎの結婚




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問3(男の生活)

男の生活ぶりとして本文から読み取れるものとして最も適切なものを選べ。

1. 特にすることもなく、常に女の家で時間を過ごしている


2. 世間での務めや役目が多く、あちらこちらへ仕えることが多いため、女のもとに落ち着いていられない生活


3. 出家して寺に住んでおり、女のもとへ来ることは一切ない清貧な生活


4. 旅商人として諸国を巡り歩き、女には金銭だけを送る生活




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問4(女の心の変化)

女の夫への思いの変化として最も適切なものを選べ。

1. 初めから一貫して夫を激しく憎み、後半になるほどその憎しみを募らせていく


2. 初めは「こんなものだ」と自分をなぐさめるが、年月とともに「このままでは心もとない」と感じ、文を送るなどして自ら関係のあり方を問い直していく


3. 始めのうちは夫を理想化していたが、やがて別の男に心惹かれ、夫への関心を失っていく


4. 初めから夫を深く信頼し、どれほど来訪が減っても一度も不安を覚えない




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問5(秋の夜の場面)

秋の夜の場面描写(雨の音・霧など)が果たす役割として最も適切なものを選べ。

1. 季節感を伝えるための背景説明にとどまり、女の心情とは関係しない


2. 夜の静けさと物寂しさが、女の孤独感と物思いをいっそう深く感じさせる情緒的な舞台装置になっている


3. 夫が近くまで来ていることを暗示する予兆として機能し、女の期待を高める


4. 都の賑やかさと対比することで、女の家がいかに裕福であるかを示す




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問6(文の内容)

女が送った文の内容として最も適切なものを選べ。

1. 夫の不忠を激しく糾弾し、今後一切来ないようにと決裂を宣言している


2. 久しく来ないことを不安に思い、自分たちの契りは一時的なものではないはずだと訴え、疎んじられているのではないかと問う、控えめながら切実な訴え


3. 金銭的援助を求める内容が大半であり、愛情については一言も触れていない


4. 夫の出世を祝う形ばかりの挨拶文であり、自身の寂しさは隠している




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問7(男の返歌・全体)

男の返歌「雲ゐはるかに隔つる身ゆゑ」の全体として最も適切な解釈を選べ。

1. 自分は雲の上の高い身分になったから、もはやお前とは釣り合わない、という優越感を示す


2. 事情により遠い場所にあって、思ってはいるものの、物理的・立場的な隔たりのために自由に通えない、という苦しい言い訳を含んだ愛情表現


3. 雲の彼方にいる別の女のもとへ行くので、お前のことは完全に忘れた、という冷酷な別れの宣言


4. 遠くの景色を詠んだだけで、女との関係には触れていない自然描写の歌




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問8(女の歌の受け止め方)

返歌を読んだあとの女の受け止め方として最も適切なものを選べ。

1. 男の愛情を全面的に信じ、すべてを安心して委ねる


2. あはれとも思っているのだろうが、雲のせいにして自分のつれなさを正当化しているのではないかと、共感と不満が入り混じった複雑な感情を抱く


3. 歌の意味が分からず、怒りだけが募っていく


4. 歌を見てすぐに別れを決意し、その夜のうちに家を出る




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問9(「日記」の意味)

「ただ日記ばかりに書きつけて見るに」とあるが、ここでの日記の役割として最も適切なものを選べ。

1. 夫の悪事を記録して後に訴えるための証拠台帳


2. 女が自分の思いを外に出せない代わりに、紙に書きつけることで心を整理し、同時に自分の経験を「世の中のありさまの例」として客観視しようとする場


3. 家計簿としての実務記録であり、感情とは無関係


4. 子どもに読ませるための教育書として書いている




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問10(時間の経過)

本文末尾の「かくて年ごろも過ぎゆきけり」が示す全体的な印象として最も適切なものを選べ。

1. 状況が劇的に改善し、女は幸福な生活を手に入れた


2. 状況は大きく変わらないまま、女は思いを書きつけつつ、同じような日々を重ねていく、という静かな諦念と継続


3. 夫が完全に姿を消し、女は出家してしまう


4. 夫婦仲が決定的に壊れ、裁判沙汰になっていく




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設問B群(11〜20:統合・推論)

問11(夫婦関係の性格)

この夫婦関係の性格として、本文全体から最も適切なものを選べ。

1. 公に認められた正式な妻でありながら、夫の通いは少なく、女は内面で孤独を抱えている


2. 完全な愛人関係であり、女は正妻の存在を知らされていない


3. 夫婦で同居しているが、仕事の都合で一時的に離れているだけ


4. 出家前の一時的な同棲生活であり、双方とも将来出家するつもりでいる




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問12(女の「語らない」)

「人にも語らず、ただ日記ばかりに書きつけて見るに」とあるが、女が人に語らない理由として最も適切なものを選べ。

1. そもそも周囲に信頼できる人が一人もいないから


2. 自分一人だけが特別につらいのではなく、こうしたことは世の常でもあると感じており、声高に訴えることをためらう心情があるから


3. 夫に口止めされており、一言も漏らしてはならない契約があるから


4. 出家の準備をしており、凡俗の悩みを他人と分かち合う気がないから




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問13(「例にもなりなん」)

「世の中のありさまの例にもなりなん」の解釈として最も適切なものを選べ。

1. 自分だけが特別に不幸であり、他人の反面教師になってしまう、と嘆いている


2. 自分の経験もまた、多くの人が経験するであろう夫婦関係の一例として、いつか誰かの理解や慰めの手がかりになるかもしれない、と半ば客観的に見ている


3. 自分の日記は必ず書物として出版され、世に広まると確信している


4. 自分の家系の歴史として、子孫に伝える必要があると考えている




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問14(女の主体性)

女の主体性(自分から動く力)について最も適切な評価を選べ。

1. 一切自分からは何もしない、完全な受け身


2. 文を送り、思いを書きつけ、将来について「この身をもてゆかむ」と考えるなど、与えられた条件の中で自分なりに状況をどう捉えるか模索している


3. すぐに家を出て別の生活を始めようとしている、非常に行動的な人物


4. 夫に暴力でもって状況を変えさせようとする激しい人物




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問15(作者的視点)

語り手(作者)的視点として最も適切なものを選べ。

1. 女を愚かだと批判し、もっと夫に従うべきだと説く視点


2. 夫を完全に悪者とし、女を一方的な被害者として描く視点


3. 女の内面を丁寧に描き出しつつ、夫婦関係のあり方、世の中の「よくある形」としてやや距離をおいて見つめる視点


4. 夫婦関係を道徳的に裁き、是非を断罪する説教的視点




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問16(主題)

本文の主題として最も適切なものを選べ。

1. 夫の不忠を暴き、懲らしめることの重要性


2. 夫婦関係における女性の孤独と、日記に書きつけることでしか吐き出せない思い、その積み重ねの中で「自分だけでなく世の例」と捉え直す視線


3. 出家して俗世を離れることのすばらしさ


4. 金銭問題が夫婦不和を生むという教訓




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問17(時間感覚)

本文に描かれる時間感覚として最も適切なものを選べ。

1. 一夜のうちにすべてが起こり、すぐに解決に至る速さ


2. 日ごろ月ごろ・年ごろといった言葉が重ねられ、長い時間の中でゆっくりと悩みが蓄積していく重さ


3. 旅の日数を詳しく数えるような、具体的な日数の記録が中心


4. 季節の移り変わりが全く描かれず、時間経過は感じられない




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問18(「心細さ」の質)

女の「心細く覚ゆ」の心細さの性質として最も適切なものを選べ。

1. 金銭的に困窮していることへの不安


2. 夫が来ないことによる寂しさだけでなく、自分の生き方や将来のあり方そのものが見えないことへの不安を含んだ、存在的な心細さ


3. 子どもがいないことへの不安


4. 親族から責められることへの恐怖




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問19(和歌の位置づけ)

男の返歌は本文全体の構成上どのような役割を果たすか、最も適切なものを選べ。

1. それまでの出来事をすべて打ち消し、二人の関係が完全に修復されるきっかけとなる


2. 女の問いに対する男の曖昧な答えとして、女の「共感+不満」を一層強め、後の「日記に書きつける」態度へとつながる転機となる


3. 物語とは関係ない挿入歌であり、読者に季節感を楽しませるためだけに置かれたもの


4. 男が完全に関係を拒絶する宣言として機能し、そのあと女は出家する




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問20(「後の世まで」のニュアンス)

「かくしもありなん後の世まで」と女が思う時、その「後の世」の意味として最も適切なものを選べ。

1. 死後の極楽浄土のみを指し、現世の時間は含まれない


2. この先の現世の時間全体、死ぬまでの長い将来という感覚であり、「このままの関係がずっと続くのか」という現実的な不安


3. 次の来世だけを想定し、この世はすでに諦めているという感覚


4. 夫が出世したあとの栄華の時代だけを指す




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設問C群(21〜25:全体・戦略)

問21(語りのスタイル)

本文の語りのスタイルとして最も適切なものを選べ。

1. 女の一人称独白のみで構成された日記そのものの形式


2. 三人称で女の行動と感情を描きつつ、ところどころ女の自覚的な言葉を挿入した、日記文学を模した客観描写


3. 男の立場から女を評価する評論文の形式


4. 第三者が夫婦を裁く裁判記録の形式




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問22(読解に必要な力)

この文章を共通テストで解く際に、最も重視される読解力として適切なものを選べ。

1. 古語単語を逐一現代語に直訳する力だけ


2. 助動詞の活用をすべて暗記しているかどうかだけ


3. 叙述から主語・時系列を押さえつつ、女の心情の変化と、それを支える情景や和歌を統合して読み取る力


4. 当時の政治制度に関する知識




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問23(全体のトーン)

文章全体のトーンとして最も適切なものを選べ。

1. 激しい怒りと告発のトーン


2. 自分だけが特別不幸だと強調する自己憐憫のトーン


3. 寂しさ・心細さを基調としつつも、日記に書きつけて「例」と見ることで、どこか冷静さと普遍化の感覚も伴うトーン


4. 喜びと誇りを前面に出す祝祭的トーン




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問24(速読戦略)

10分で解くとき、「優先的に精読すべき箇所」の組合せとして最も適切なものを選べ。

1. 結婚の冒頭部分/男の忙しさの説明/雨の音の細部描写


2. 女の文の内容/男の返歌(和歌)/返歌直後の女の解釈/末尾の日記に対する自己認識(「例にもなりなん」)


3. 道の様子や霧の細かな比喩のみ


4. 親の人数や家の構造などの背景説明のみ




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問25(この文章の「古文としての型」)

この文章が、共通テスト古文として出題されるとした場合、最も近い型を選べ。

1. 説話(奇跡・因果応報中心)の型


2. 軍記物語(戦や武功中心)の型


3. 日記文学(妻の内面・夫婦関係・無常)の型


4. 和歌集の序文の型




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設問D群(26〜30:動作主・動作の受け手判別)

問26(「待ち明かし暮らしつる」)

> 「日ごろ月ごろも待ち明かし暮らしつるが、年経るままに…」



この「待ち明かし暮らしつる」の動作主と、何を待っているのかの組み合わせとして最も適切なものを選べ。

1. 動作主=男/夫の帰りを待っている


2. 動作主=女/夫の来訪をひとりで待ち続けている


3. 動作主=親/娘の帰宅を待っている


4. 動作主=近所の人々/雨の止むのを待っている




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問27(「思ひ入りて」)

> 「かくのみて過ぐさむも、心もとなきわざかな、と思ひ入りて、ときどきは文書きてやりけれど…」



「思ひ入りて」の動作主として最も適切なものを選べ。

1. 男が、自分の通い方を反省して思い入る


2. 女が、このままの状態を続けることへの不安から深く思い込む


3. 親が、娘の結婚を後悔して思い入る


4. 語り手が、世の中全体の夫婦について思い入る




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問28(「持たせてやりつ」)

> 「さすがに文ひとつ書きて、人に持たせてやりつ。」



ここで「持たせてやりつ」とあるとき、誰が誰に文を持たせてやったかとして最も適切なものを選べ。

1. 男が人に文を持たせて、女にやった


2. 女が人に文を持たせて、男のもとへやった


3. 親が人に文を持たせて、男に抗議させた


4. 語り手が人に文を持たせて、読者に見せた




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問29(「持て来たりける」)

> 「ほどなくして、人来たりて、『かくなん』とて、男の返りごとをぞ持て来たりける。」



「持て来たりける」の動作主と、その持ってきたものとして最も適切な組み合わせを選べ。

1. 男が自ら手紙を持ってきた


2. 女が手紙を書いて自分のところへ持ってきた


3. 使いの人が、男から預かった返事の文を女のもとへ持ってきた


4. 親が、男の評判を持ってきて娘に教えた




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問30(「思ひなしつつ」)

> 「『かく書きおきつればこそ、我が身ひとりの思ひにもあらず、世の中のありさまの例にもなりなん』など思ひなしつつ、かくて年ごろも過ぎゆきけり。」



「思ひなしつつ」の動作主と、その内容として最も適切なものを選べ。

1. 男が、自分の浮気を正当化しようと「世の中の例だ」と思いなす


2. 女が、自分の経験を書きとめることで「自分ひとりの思いではなく、世のありさまの一例だ」と考え直している


3. 親が、この結婚は世の中にありがちな失敗例だと思いなす


4. 語り手が、この話を創作として面白くするための脚色だと思いなす




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【解答一覧】

1② 2③ 3② 4② 5②
6② 7② 8② 9② 10②
11① 12② 13② 14② 15③
16② 17② 18② 19② 20②
21② 22③ 23③ 24② 25③
26② 27② 28② 29③ 30②


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超ざっくりポイント(復習用・短め)

主語は基本「直前の流れ+心の中を見られている人」で決める

「文を書きてやる/持たせてやる」→女→使い→男

「返りごとを持て来たり」→使い→女

和歌+その直後の解釈文を必読

最後の「例にもなりなん」「年ごろも過ぎゆきけり」が主題とトーンのカギ



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これで「第1弾・1本目」のノック完了です。
次は作品テイストを変えて(例えば更級日記風/徒然草風/説話風など)、同じ30問セット形式で続けていけます。

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